ラブプラス（コナミ）

ギャルゲーというジャンルを作った始祖であるコナミが久々に投入した本作は、
新たな可能性を感じさせるすごいゲームでした。
公式サイトやパッケージに書かれた
「国民的GFデビュー」の文字を見て
一瞬ウインビー（ツインビーシリーズ）を思い出した自分でしたが、
杞憂に終わりました。

さて
「ときめきメモリアル」というゲーム史に残る作品を生み出したあとも、
同シリーズをはじめとして
「あいたくて」「みつめてナイト」「ときメモガールズサイド」「マイネリーベ」などなど
ギャルゲー（乙女ゲー）を出し続けていたコナミ。
比較的堅調な乙女ゲー（女性向けギャルゲー）を除くと
先細り感は否めませんでした。

そんなギャルゲー＝コナミという構図も忘れられかけていたなか
登場した本作は、
（他社のヒット作も含め）歴代ギャルゲーのエッセンスをバランス良く凝縮し（いいとこ取りし）
それでいて新しさも感じるという
さすがギャルゲーの老舗といった
職人芸を感じさせる内容に仕上がっていました。

ざっと思いつくだけでも
「ときめきメモリアル」
「あいたくて」
「トゥルーラブストーリー」
「井上涼子」
「キミキス」
「どきどき魔女神判」
（「N.U.D.E.」もかな・・・）
あたりの要素をそつなく取り入れ上手くブレンド・消化しています。

本作では
ヒロインを三人に絞り
そのぶん内容を濃密にしているのですが、
これは他のギャルゲーと差を付ける意味でも
大成功と言って良いでしょう。
主人公を高校二年という設定にして
三人をそれぞれ三年（年上）・二年（同級生）・一年（年下）
にしたのも上手いと思います。
家庭問題で反抗的だったり
優等生すぎて（仲間はずれ的に）浮いていたり
頼られすぎて疲弊気味だったりと
三人とも放っておけない性格・事情にしてあるのも
感情移入に一役買っているように思います。
あと
他のギャルゲーに比べて
デザイン、髪の色などが地味なのも
地に足の付いた演出につながって
好結果をもたらした一因でしょう。
余談ながら
演じる声優がひと世代前の方が三人中二人だったり
髪型もどこか懐かしい感じなのは
初代ときメモファンもターゲットに入っているのだと見て
間違いないと思います。


（左から一年リンコ・三年ネネ・二年マナカ）

ハードがDSだから
グラフィックが命のギャルゲーとしては
辛いんじゃないかと思う方も居るでしょうが、
これが執念のモデリングとでも言いますか
造形・動きともに素晴らしい出来映えで、
むしろ据置き新世代機のギャルが作り物っぽく
見えてしまうほどでした。
当時はキャラの描き分けが困難で
高い授業料を払うことになったときメモ3の経験も
ここで活かされて元を取ったんじゃないでしょうか。
要所でイラストを混ぜる手法も
雰囲気アップにつながっていて良かったです。


（イラスト部分）


ゲームとしては
恋人になるまでの前編、
その後の後編という二部構成になっており、
一見するところ前編は前座というか
軽い前振りぐらいに思いそうですが、
この前編が丁寧なつくりで実に面白いです。
ときメモ的なパラメーター上げも
簡素化するなどうまくこなれており、
ほとんどストレスを感じさせませんでした。


（登校イベント）

恋人同士になった後を描く後編では
こっぱずかしくなるほどラブラブな日常になるのですが、
適当にやっているとそっけなくなったりもするため
こちらもなかなか気が抜けなくなっています。
なお後編には
DSの時計に応じてイベントが起きるリアルタイムモードと
時間に応じたイベントは起きないものの
前編と近い感覚で遊べるスキップモードがあり、
リアルタイムモードで通そうとすると
日常生活に支障をきたすかも知れませんが、
リアルタイムモードとスキップモードは
切り替えて遊ぶこともできるのでご安心ください。

そうそう、
恋人になると
ヒロインたちは主人公の好みを気にするようになり、
こちらの意見で髪型などを変えたりするのですが、
リンコをショートカットのままにしようとしていたら、
なぜか
じゃりん子チエというか
流浪雲みたいなちょんまげになってしまいました（笑）。

・・・なんでやねん。


（分かりにくいけどちょんまげ状態）


※画像は全て(c)コナミ

ラブプラス

• 出版社/メーカー: コナミデジタルエンタテインメント
• メディア: Video Game

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タグ：ラブプラス

コメント 8

どらおさんのレビューを読んで、プレイしたくなりました。
また新たなコナミのギャルゲーかと冷ややかに見ていましたが、
面白そうです（値段がこなれて来たら買おうかな！）

正直、据え置機のアイマス・ドリクラ等のギャルゲーでも、
心がときめくことも無くなりましたが…（ときメモ以来は…w)
青春時代にタイムリープするべくプレイしても良いかもしれないなぁ～^^

コナミなので続編や関連商品も出回りそうですね～汗！！
by コロロ軍曹 (2009-09-15 21:03) 

こんばんは。
ラブマイナス人生の三十男です。

各所で話題沸騰の本作ですが、
さすがはギャルゲーにも一家言を持つどらおさん、
冷静な語り口に感服いたしました。
ギャルゲーの歴史の中に作品を位置づけ、
マーケティング戦略まで分析…そして浮浪雲…。

個人的にはこのゲーム、前から興味深々だったんですが、
いつの間にかブームに乗り遅れました。
製作者のターゲットからズレていたのかもしれません。
by ケン (2009-09-15 22:22) 

ちょっと萌え尽きました、こんばんはwww

こう、ゲームとしての面白さをしっかり備えてるんで
そこをちゃんと伝えたいと思ってるのに
キャラの魅力に引きずられ前のめりになってしまう作品に
かなり久々に出会いました。
うちももちょっと淡々とやるつもりだったんですがwww

ときメモ新作も出るようですが
ラブプラスが出た今従来のスタイルではけっこう大変そうな気が。
ここをどう棲み分けるのか、今後のコナミは面白くなりそうですね。

追伸：うちの凛子さんはベリーショートになりそうですw
by なかじマダオ (2009-09-16 01:56) 

コロロ軍曹さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
自分も初代ときメモに散々ハマったせいか
その後のギャルゲーにはそれほど熱中してませんでしたが、
これはちょっと違う感じですよ。
値段に関してはゲームの性質上
中古が大量には出回らない気がするので、
大量に発注しすぎて値崩れとかじゃない限りは
ベスト版待ちになるのかなと思います。
それから
ドリクラは信頼できるゲームブログによるとまさにキャバクラという話ですし
アイマスはアイドルとマネージャーという身近じゃない題材ですので、
メーカーだけでなくこちらの方が
ときメモ気分再びになれるんじゃないかなぁ・・・。
あと
女性用は相当高い確率で出そうです。
by どらお (2009-09-16 13:43) 

ケンさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
自分もラブビロウゼロなそのまんまオジンなので
いつか収支をトントンに出来ればと思います（汗）。
それから
お褒めの言葉もありがとうございます。
熱い語り口はマダオさんをはじめ
各所で名文があがってくることが予想できたのと、
自分の場合はそうすると空回りする傾向が強いこともあって
ちょっと引いた目線から語ってみました。
最後の部分はリンコが「ロリコン・・・」としゃべっている画面か
どちらにしようと思ってましたが、
一般性のあるこちらにしてみました。
そうそう、
自分はマダオさんのブログでケンさんが
ラブプラスと何度かコメントで言及していたので
存在に気がつき、
調べたら可能性を感じたので特別版（笑）を予約したんですよ～。
by どらお (2009-09-16 13:49) 

なかじマダオさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
自分はマナカと最後まで悩んでリンコにしたのですが、
両方遊ばれてたらエネルギー要りそうだなぁと思ってました。
ホント萌え尽きそうなプレイヤーが続出してそうですね。
そういえば
深夜の夢イベントを見ようとして頑張りましたが、
五時だと朝になってました（涙）。
いつかは見られるかなぁ～。
しかし
前のめりになるのも納得の出来ですよね。
ともすれば
あざとさを感じがちな（で冷めてしまったりもする）ジャンルなのに
それをあまり感じさせず
なおかつ没入させるという手腕は凄いと思います。
ときメモの新作については、
3につづいてオンラインも不発に終わって
ブランド力自体が落ちている気がするので、
次は正念場と言っていいのかも。
さてどうくるのか注目ですね。

ただでさえ襟足がカリアゲっぽいリンコさん、
それがベリーショートって・・・
チータみたいになっちゃうのかな（汗）
by どらお (2009-09-16 14:00) 

すごい！よくわかりました、ギャルゲーの潮流が。

そうそう、巷では「トイレにまでDSを持ち込む殿方が続出」

らしく、果たしてどんな作品なのか、ギャルゲーとは残念ながら接点がなかった

私でも気になっておりました。

プレイヤーの好みに合わせるとか、相手しないとすねるとか、

この作品はバーチャルなのに現実感を大切にしている傾向が、

他の同ジャンルの作品よりも顕著なんですねー。

すると、どれだけリアルに近いのか試してみたいというイタズラ心がくすぐられます（笑
by kncafe (2009-09-19 02:01) 

kncafeさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
そうなんですよ。
今までの物より格段にリアル感があります。
まあ
現実に近づける・・・
というより
現実がこうだったらいいなという願望を
具現化しようとした結果
こうなったのかも知れませんけどね（汗）。
なので
反抗するとか言っても
基本的に素直な良い子ばかりですから、
女性が遊んだら
現実がこうだと思うなよ、小僧～！と思う可能性大です（笑）。
by どらお (2009-09-19 14:38)