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ルサンチマン(花沢健吾/小学館) [書籍]

この作品は
ゲーム化されたわけでも
原作がゲームという訳でもありませんが、
題材がネットゲームという事で取り上げさせていただきます。

進化したネットワークを舞台にした漫画には
かつて「ブーム・タウン(内田美奈子)」という未完の良作もありましたが、
あちらがどちらかといえば
ハビタットに始まりセカンドライフ、プレイステーション@ホームなどへと続く
コミュニケーションツールの進化系らしき世界だったのに対し、
この「ルサンチマン」では
進化したネットゲームの世界が描かれています。

街や人間など特に変わり映えのしない近未来が舞台のこの漫画ですが、
ネットゲームに関しては相応以上に進化しており、
ギャルゲーとファンタジー系MORPG、戦争系MMOFPSを一緒くたにして
同じキャラクターで全てをプレイすることが可能になっているうえに、
専用のスーツ(コントローラみたいなもの)を装着してあそぶため
まさにバーチャルリアリティーというような体験ができるようになっています。

工場勤務で定職はあるものの
風貌から私生活までまるっきり冴えない30代独身の主人公が
ネット廃人の友人に勧められたゲームに手を出してしまい
どっぷりとハマりこんでいく過程で
自分の買ったソフト(月子)が他の量販ソフトとは違っていることに気づき、
ゲームの枠を超えた騒動に巻き込まれていく・・・という話でして、
全四巻というコンパクトさも相まって
最後までだれずに楽しめる
もうちょっと話題になってしかるべきと思える内容でした。

特に
主人公のタクローをゲームに引っ張り込んだ
ネットゲーム廃人の越後がすごい描かれ方でして、
普段の駄目っぷりとゲームにおける格好良さの
大げさなまでのギャップは
願望としては当然そうなんだろうと思わせつつも、
終盤は生き様まで格好良くなっているため、
単なる猛烈に痛いキャラで終わっていないのが
非常に印象的でした。

多ジャンルが共存しつつ
それぞれの嗜好でエリアの棲み分けができてはいるものの、
ときおり戦争系プレイヤーが侵攻してくるため
内戦のようになっているなど
ゲーム世界の描き方もうまいですし、
単なるハッピーエンドになっていない結末も
かえって読後感が良くなっているように感じました。

ギャルゲー部分に性的な嗜好が加わっているため
大人のおもちゃのような表現も多数あり、
その辺りが読者を選んでしまう気がしますけれど、
ゲームを描いた近年の漫画の中でも屈指の良作なのは間違いないです。


ルサンチマン 1 (ビッグコミックス)

ルサンチマン 1 (ビッグコミックス)

  • 作者: 花沢 健吾
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2004/05/28
  • メディア: コミック




ブーム・タウン 1 (バンブー・コミックス)

ブーム・タウン 1 (バンブー・コミックス)

  • 作者: 内田 美奈子
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 1993/06
  • メディア: 単行本



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ニコル

この記事読ませていただいて、ルサンチマンおもしろそーだなーと思って、近所の古本屋行ったときに探したら余裕で全巻置いてたんで、思わず買っちゃいましたよw
まだ1巻しか読んでませんが、ラインハルトかっこよすぎて笑いました。
by ニコル (2009-10-20 19:05) 

どらお

ニコルさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
面白さのかけらだけでも伝えられれば
と思っていたので、
この記事から興味を持って
しかも買ってこられたと聞いて嬉しいです。
ラインハルトは
ある意味、
主役を食ってますよね(笑)
by どらお (2009-10-20 20:16) 

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